帰ってきたヒトラー | |
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総合評価 |
「帰ってきたヒトラー」のあらすじ、感想です。
初めて映画の内容を見たとき「こんな作品が許されるんだ…」と驚いた記憶があります。しかも、製作国はドイツ。他国がヒトラーの風刺映画を作るのとは、意味が違うはず。原作が世界的ベストセラーであることは、後から知りました。ずっとウォッチリストに入れていましたが、最近たまたま世界史(第2次世界大戦)の復習ができる本を読んだので、よいタイミングだと思い、鑑賞してみました。
- 超リアルなヒトラーと、街の人々の反応
- 笑ってばかりはいられない?試される価値観
この記事の要点まとめ
帰ってきたヒトラー 基本情報
原題 | Er ist wieder da(彼が帰ってきた) |
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原作 | 小説 「帰ってきたヒトラー」ティムール・ヴェルメシュ |
監督 | デヴィット・ヴェント |
出演者 | オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、カッチャ・リーマン |
公開時期 | 2016年 |
ジャンル | コメディ |
帰ってきたヒトラー あらすじ
1945年に自殺したヒトラーが、2014年のベルリンで、空き地に倒れた状態で目を覚ます。同じころ、テレビ局をリストラされたザヴァツキは、テレビ局へ復帰するためのネタを探していた。動画に偶然映り込んだヒトラーを見つけたザヴァツキは、ヒトラーと一緒にドイツ中を周る旅に出発。ヒトラーをものまね芸人だと思い込み、歓迎する街の人々を撮影する。さらに、ヒトラーはザヴァツキの紹介でテレビのトーク番組にも出演。昔と変わらない人を惹きつける演説にネットメディアも反応し、ヒトラーは次第に国の有名人となっていく…。
帰ってきたヒトラー ツイッターの反応
帰ってきたヒトラー観た!完全にホラーコメディだな…
— おっくん (@ABC_MCU) 2019年5月19日
『帰ってきたヒトラー』はね、良かったですよ、ラストが安直な啓蒙で終わらないところが好き
— (@1cQ2ek2iS5) 2019年5月21日
『帰ってきたヒトラー』は現代にタイムスリップしてきたヒトラーの言動をドイツメディアが面白がってお笑い芸人としてブレイクさせる映画。非常に良くできたブラックコメディだと最初は大笑いして観ていたのが、途中からどんどん笑えなくなる物語が秀逸。ドイツも日本も似たような問題抱えてるんだね。
— つきよ (@tsukiyo_matori) 2019年5月20日
帰ってきたヒトラー見終わったが政治的なコメディから一気にホラーのようなに恐怖感を与えてくるのが凄かった・・・
— ケプケ (@kepukeo) 2019年4月27日
帰ってきたヒトラー 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り
観る前は、タイムスリップしたヒトラーが、現代の技術や進歩に驚き、戸惑うところを笑うコメディだと思っていました。
ところが予想に反して、ヒトラーは、周囲の状況から自分がタイムスリップしたことを理解し、政治家としての自身の主張を、再び人々に伝えようとするのです。
薄型のテレビを見て「技術が進んだな。プロパガンダに使える」と大真面目に考えるし、YouTubeを使って知名度と人気を獲得、SNSも利用します。
現代ならではの政治手法をすぐに理解し、利用するヒトラー。政治家としての有能な一面が描かれます。
とはいえ、ヒトラーがあのヒゲと軍服姿で、YouTubeやTVのバラエティショーに登場したり、ちまちまとパソコンを操作したりする絵面は、やっぱり面白い。しばらくはコメディとしてゆったりと観ていました。
そんな中、突然緊張感が走るシーンがやってきます。
ザヴァツキのガールフレンド・クレマイヤーの家を訪れたヒトラー。ユダヤ人であるクレマイヤーの祖母がヒトラーを見て、
「あんたが、私の家族をガス室で殺したんだ!」
と言い放ちます。鬼のような形相をした老女の叫びは恐ろしく、鳥肌が立ちました。
コメディとして観ているうちに、ヒトラーが過去にしたことを忘れたり、過少に考えたりしていなかっただろうか?老女の言葉は、自分が糾弾されたかのような衝撃でした。
そして、ラスト。ザヴァツキはヒトラーの危険性に気が付き、「怪物」と呼んで、ヒトラーに銃を向けます。それに対するヒトラーの言葉は恐ろしいものでした。
「私が彼らを扇動したのではない。彼らが私を選挙で選んだのだ」
「なぜ人々は私に従うのか? 彼らの本質、価値観は私と同じなのだ…」
結局、ザヴァツキは精神病棟に入れられ、ヒトラーはそのまま存在し続けます。
民衆は扇動され、完全復活したヒトラーが再びドイツを支配するのでは…という不吉な予感とともに、映画は終了。
どんなに面白おかしく、あるいは魅力的に描かれようとも、ヒトラーはファシスト。茶化しながら「過去の」「終わった」政治家として観ていると、ラストで冷や水を浴びせられました。
ジャンルとしてはコメディですが、気軽に笑って「面白かったなあ」で終われるような映画では、決してありません。
観終わったあと、自分が「市民」として正しい感覚を持っているか?と誰もが自問するのではないでしょうか。万一この先「ヒトラー的な存在」が自分の国に現れたら?そんな時の心構えとしても、観ておいて損はない作品だと思います。
帰ってきたヒトラー を観た人にオススメの作品
「ヒトラー 最期の12日間」
パロディ動画の題材としても有名ですが、本作で笑って、ちょっと怖くなった後に観ると、作品の印象が変わるかもしれません。