レビュー

【博士と彼女のセオリー】映画の感想|ホーキング博士の知られざる夫婦関係を描く大人のラブストーリー

博士と彼女のセオリー
総合評価

「博士と彼女のセオリー」のあらすじ、感想です。

Amazonプライムビデオで宣伝映像が流れていて、スティーブン・ホーキング博士の伝記映画だと知り、興味を持ちました。

宇宙物理学で世界的に有名なホーキング博士ですが、本作は研究者としての伝記ではなく、妻・ジェーン・ホーキングとの知られざる夫婦関係を描いた作品です。

観る前は、夫妻の出会いと結婚生活を描く、感動的なラブストーリーを想像していました。

  1. 美しい映像で描かれる、夫婦の過去の日々
  2. ホーキング夫妻が選んだ夫婦のあり方とは?

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博士と彼女のセオリー 基本情報

原題 The Theory of Everything
原作 回顧録 「Travelling to Infinity: My Life with Stephen」ジェーン・ホーキング
監督 ジェームズ・マーシュ
出演者 エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ
公開時期 2015年
ジャンル 伝記/人間ドラマ

博士と彼女のセオリー あらすじ

1960年代。ケンブリッジ大学で学んでいたスティーブン・ホーキングは、文学部のジェーン・ワイルドと出会う。

二人は惹かれ合い交際を始めるが、ある日身体に異変を感じ倒れたスティーブンは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病であると診断される。

それでもジェーンはスティーブンの元を離れず、二人は結婚。子供も産まれ、ジェーンの献身的なサポートの元で、スティーブンは研究者として成果を上げていく。

しかし、夫の介護と子供達の世話という重労働で、ジェーンは精神的に追い詰められ、苦しんでいた。そんな中、勧められて教会の聖歌隊に入ったジェーンは、指揮者のジョナサンと出会う。

妻を亡くし子供もなく、寂しい生活を送っていたジョナサンは、ホーキング家の手伝いをするようになり、スティーブンや子供達とも親しくなっていく。

博士と彼女のセオリー ツイッターの反応

博士と彼女のセオリー 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

実話を元にした映画、かつ主人公が存命中(当時)に公開された映画ということで、先入観があったかもしれません。

てっきり、身体が不自由な科学者の夫と、生涯にわたり夫を支え続けた妻との愛情物語だと思っていました。

実際に、スティーブン・ホーキングと妻ジェーンの出会いから結婚は、セピアがかった、独特の美しい映像で描かれます。

ノスタルジックなピアノ音楽とともに語られる過去の日々は、美しいだけでなく、互いへの温かい愛情が伝わってきて、観ているだけで心打たれるものがありました。

ところが、二人の幸せな夫婦生活は、博士の晩年まで続いたわけではありませんでした。

第二子を出産後、夫の介護と子供の世話という重い負担に追い詰められていたジェーンは、教会の聖歌隊に入り、指揮者のジョナサンに出会います。

ジョナサンは、スティーブンの身の回りの世話や、子供たちのピアノ教師などをしながら、ホーキング一家の支援を始めました。

ジェーンにとっては救世主であり、良き理解者となったジョナサン。ところが、それだけでは終わらず、二人は惹かれ合ってしまうのです。

この時点では、(おそらく)精神的なものとはいえ、不倫に当たるジェーンとジョナサンの関係が、赤裸々に描かれていることに、まず驚きました。

さらに、ジョナサンがホーキング家に出入りしていたころ、ジェーンは第三子を出産しますが、周囲で「子供の父親は、スティーブンではなくジョナサンではないか」という噂が流れます。

父親は誰か…などという、極めてナイーブな問題があったことまで、当事者たちが存命中の映画で言及されることも、重ねて驚きでした。

第三子誕生は1979年。スティーブンとジェーンは1991年に離婚し、その後ジェーンはジョナサンと再婚しています。(スティーブンも別の女性と再婚)

映画化された2010年代には、関係者にとって過去の出来事はすべて、穏やかに語れるようになっていたのかもしれません。

それにしても、自分が生きている間の伝記映画に盛り込む内容としては、躊躇いを感じるのが一般的な感覚ではないかと思います。

夫婦関係というのは、他人には計り知れないものがあり、夫婦一組ごとに異なる「あり方(セオリー)」があるということを、改めて実感する映画でした。

スティーブン・ホーキング博士は、2018年3月に亡くなりました。

もし、映画が公開された2015年に観ていたら、映画の中のスティーブンが同時代に生きて、まだ研究を続けていることに、胸を熱くしたに違いありません。

少しだけ観るのが遅かったなあ…と、ちょっぴり残念です。

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