不能犯 | |
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総合評価 |
「不能犯」のあらすじ、感想です。
公開された頃に観た予告が印象に残ったのは、二つの理由からでした。
まずは、聞き慣れない言葉「不能犯」というタイトルのインパクト。
もう一つは、証拠のない殺人を実行する犯人VS警察という、どのような展開になるのか興味をそそられるあらすじです。
漫画が原作で、設定も現実離れしていることから、「リアリティがない」という批判はしないと心に決めて、フィクションの世界を楽しむ気持ちで鑑賞しました。
- 「不能犯」とはなにか
- マインドコントロールで人を殺す男
- 人間の深い心の闇
不能犯 基本情報
原作 | 漫画 「不能犯」宮月新/神崎 裕也 |
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監督 | 白石晃士 |
出演者 | 松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗 |
公開時期 | 2018年 |
ジャンル | サスペンス |
不能犯 あらすじ
―電話ボックスに殺したい相手と理由を書いて貼っておくと、殺してくれる。
「電話ボックスの男」と呼ばれる殺人請負人に関する噂が、インターネットで広がっていた。
同じころ、東京では不可解な変死事件が相次いでいた。明らかに不自然で異様な死にも関わらず、他殺を示す証拠が一切出てこない。
変死の現場では、たびたび黒いスーツの男が目撃されていたが、防犯カメラや現場の証拠からは、男が殺人を実行した形跡は見つからないため、警察は男のことを「不能犯」と呼んでいた。
杉並北警察署の多田友子は、それでも男が何らかの方法で殺人を実行していると疑い、男の行方を探し続ける。
そんな中、ある事件の現場で、多田はついに黒いスーツの男と接触。任意同行した取り調べで、男は「宇相吹正(うそぶきただし)」と名乗る。
宇相吹こそが、相手をマインドコントロールで操って死に追いやる「電話ボックスの男」だった。
だが、殺人の証拠はないため、多田は宇相吹を釈放する。しかしその直後、またもや宇相吹のターゲットが凄惨な死を遂げて…。
不能犯 ツイッターの反応
Gyaoで不能犯っていう映画見たんだけど、沢尻エリカさん やっぱかっこいいねぇ。
— kumin.edogawa (@KuminEdogawa) November 4, 2019
『不能犯』もっと刺激が欲しいなぁ。ちょっと物足りない映画だった。
— 長岡円仁 (Engine Nagaoka) (@yohengine) November 3, 2019
不能犯
マインドコントロールの描写が面白くて素敵だと思ったけど超能力者みたいに描写されてる感が強かった。若干の厨二感も拭えなかったけど人と人の関連性でどんどん不幸が連鎖してくところのストーリーがおもろかった! pic.twitter.com/P5xvhjbRiC— ささき (@monomono_sasa) November 4, 2019
Netflixで「不能犯」という松坂桃李さんが不気味な殺人者を演じる映画をみたよ。ゾワゾワ面白いお話しだった。悪魔の花嫁や笑うセールスマンを連想させるような不思議な恐ろしいお話しでしたわ
いだてんの岩ちんと同じ人とは思えないねぇ— 猫神博士 (@akko2524) November 3, 2019
不能犯 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り
「不能犯」という言葉の説明に、一番わかりやすいのは”呪詛”です。
他人を殺す目的で呪術を行っても、呪いで人を殺すことはできない。だから、たとえ相手が死んでもその行為は「不能犯」となり、法律では裁かれません。
映画に出てくる黒いスーツの男、宇相吹(うそぶき)は、殺したい相手の目を見つめて、ある種のマインドコントロールを施し、相手を死に追いやります。
一般にはマインドコントロールでは人は殺せないので、宇相吹は正真正銘の不能犯でした。
あらすじからサイコ・サスペンスを想像していたので、予想外にホラー描写が多かったことには、驚きました。
たとえば、手首の傷に浮かぶ死んだ人間の顔、殺された同僚の亡霊。
いずれも、宇相吹がマインドコントロールで殺す相手に見せる幻影ですが、”いかにもホラー”な演出に、急に映画のジャンルが変わったような違和感がありました。
さらに、血の描写も多めです。じわりと広がったり、プシューと吹き出したり、血まみれシーンの多さは、明らかに意図したものだと思います。
鑑賞後、監督の経歴を見たらホラー映画がずらりと並んでいたので、なるほど…と納得しました。
しかし、度重なるホラー演出が、映画全体に効果的だったか?と言えば、個人的には首をひねらざるを得ません。
「人を呪わば穴二つ」という昔からある教訓の通り、宇相吹に殺人を依頼した依頼者たちは、願いが叶ったにもかかわらず、ほぼ全員が悲惨な末路を辿ります。
最も恐ろしいのは、些細なことから激しい憎しみを募らせて、宇相吹に殺人を依頼する人間の心。
彼らの心の闇の深さ、恐ろしさに比べれば、中途半端なホラー描写はまったく怖くないし、むしろ作品を陳腐にしているのではないかとさえ、思ってしまいました。
このように、今一つしっくり来ない所もある映画でしたが、先の展開が気になり、途中で飽きることはなかったし、心に残る点もありました。
宇相吹のように、マインドコントロールで人を殺せる人物は、現実には存在しません。
しかし、思い込みや誤解によって憎しみを募らせたあげく、人を殺す…という事件は、日常的に起きています。
つまり、「不能犯」の世界と、現実の世界とでは、起きていることはさほど変わらない。
この事実に気が付くと、やはり一番怖いのは普通の人間なのだと、思い知らされました。
刺激的なシーンの多いサスペンス映画ですが、なかなか考えさせられるテーマも含有している作品でした。
不能犯 を観た人にオススメの作品
「22年目の告白 -私が殺人犯です-」
時効成立後に名乗り出た殺人犯。センセーショナルな展開の中で、観る者の倫理感が問われる。意外に社会派のサスペンス映画です。