レビュー

【累 -かさね-】映画の感想|キスで入れ替わる顔。美醜に翻弄される女たちの運命は?

累 -かさね-
総合評価

「累 -かさね-」のあらすじ、感想です。

劇場の予告で興味を持って以来、観たいと思っていた映画です。

不思議な口紅とキス、醜い少女と美しい少女の顔が入れ替わる、醜い少女は演技の天才…といった設定が、古典的少女漫画の世界を彷彿とさせて、逆に新鮮に感じました。

原作は未読で、ポスターや予告の雰囲気から、怖いシーンが多いのではないかと想像。ホラー映画を観るような気分で鑑賞してみました。

  1. 主演女優二人のハイレベルな演技合戦
  2. 展開と結末が読めないストーリー

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累 -かさね- 基本情報

原作 漫画 「累 -かさね-」松浦だるま
監督 佐藤祐市
出演者 土屋太鳳、芳根京子、浅野忠信、横山裕
公開時期 2018年
ジャンル サスペンス

累 -かさね- あらすじ

淵累(ふち・かさね)は、大女優・淵澄世の娘として生まれながら、子供の頃、顔に大きな傷を負ったことで、自分の容姿に激しい劣等感を抱えて生きていた。

累は、母・澄世から不思議な口紅を受け継いでいた。その口紅を塗ってキスをすると、キスをした相手と顔が入れ替わるのである。

澄世の13回忌法要の日。澄世の知人である羽生田という男が現れ、累に口紅の秘密を自分も知っていると話す。

羽生田は、芸能関係者で、丹沢ニナという美貌の女優のマネジメントをしていた。事情があり、女優の仕事が上手くいっていないニナのために、羽生田は累に、口紅を使ってニナと顔を入れ替え、ニナの代わりに女優をやってほしいと持ち掛ける。

累 -かさね- ツイッターの反応

累 -かさね- 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

奇抜なストーリーを目当てに観た映画ですが、まず目を奪われたのは、土屋太鳳、芳根京子という、主演女優二人の演技です。

特に、凄かったのは土屋太鳳。彼女が演じる美貌の女優・丹沢ニナは、高飛車で意地悪。主人公・累の容姿を醜いと罵るばかりか、ハイヒールで踏みつける悪女ぶりで、普段のイメージとのギャップに、唖然としました。

さらに、「キスで顔が入れ替わる」という設定は、土屋、芳根の二人がそれぞれ、自分の顔で相手のキャラクター(内面)を演じることを、意味します。

下手に演じると、どちらがどちらかわからなくなるところを、二人はまったく混乱させません。

顔がどちらでも、ニナはニナだし、累は累。出来上がった作品だけ観ると簡単にやっているように見えますが、相当難易度が高いお芝居ではないかと思います。

若手女優二人のハイレベルな芝居対決を見るだけでも、「累 -かさね-」には一見の価値がありました。

ストーリーの方は、当初、若手演出家・烏合をめぐるニナと累の三角関係が中心。てっきり烏合を巡って、ドロドロした女の争いが最後まで続く話かと思ったのですが、違いました。

烏合の件は、ほんの序章に過ぎす、累の顔の傷の秘密も絡んで、次第にニナの人生を丸ごと乗っ取ろうとする、累の凄まじい狂気が描かれていきます。

故意にニナを昏睡させるといった非道な手段も使い、ニナの顔だけでなく、すべてを奪おうとする累。

最初の方は、不幸な累に肩入れする気持ちで観ていましたが、次第にニナが哀れに思えてきます。どちらにも共感できず、二人が一体どうなるのか、途中から結末が気になって仕方ありませんでした。

個人的に予想していたラストは、ニナが累に反撃し、累の恐ろしい企みを回避する逆転劇です。 ところが、実際は、ニナが逆転することはなく、累はニナの人生を完璧に乗っ取った…という形で、映画は終わります。

正直、結末には、やや拍子抜けした感はありました。それでも、映画としてつまらなかったかと言えば、決してそうは思いません。

なぜなら、「累 -かさね-」という映画は、最初から最後まで、「何か恐ろしいこと」が起きそうな緊張感に満ちていて、怖いけれど先に進みたい、お化け屋敷のような期待感で、観客を惹きつける作品だったからです。

言い換えれば、結末がそれほど意外でなくても、観ている間の緊張感と期待感だけで満足できるという、個人的にあまり観たことがないタイプの映画でした。

ちなみに、観る前に想像していたようなホラー要素やショッキングな映像などは、意外にもほとんどありません。

人間ドラマやサスペンスに興味があれば、幅広い層が楽しめそうな作品なので、怖そうだから…と避けている人も、心配せずに鑑賞してみてほしいと思います。

累 -かさね- を観た人にオススメの作品


「春待つ僕ら」
人気コミックを映画化した青春ラブストーリー。一般的な土屋太鳳さんのイメージは、こちらではないでしょうか。本作とのギャップに注目です。

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