レビュー

【空飛ぶタイヤ】映画の感想|巨大企業の闇。実在の事件がモチーフの社会派作品


空飛ぶタイヤ
総合評価

「空飛ぶタイヤ」のあらすじ、感想です。

連休中にBS局で宣伝しているのを見て、普段見ないジャンルだけど、出演者が豪華だしちょっと観てみるか…と気まぐれに鑑賞しました。池井戸潤作品の個人的なイメージは、「引き込まれる物語」、「最後は後味のよい大団円」です。この映画もそんな感じだといいな…と期待して、観始めました。

  1. 実在の事件がモチーフ。リアルな大企業の闇。
  2. 個人と組織の戦い。一人一人にできることとは?

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空飛ぶタイヤ 基本情報

原作 小説 「空飛ぶタイヤ」池井戸潤
監督 本木克英
出演者 長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子
公開時期 2018年
ジャンル 人間ドラマ

空飛ぶタイヤ あらすじ

走行中のトラックのタイヤが外れて空を飛び、歩いていた母子に直撃、母親が死亡するという死傷事故が起きた。事故原因は整備不良であるとされ、トラックを所有していた赤松運送は、警察の取り調べを受ける。この事故で信用を失った赤松運送は、銀行からも見放され、経営を続けることが困難になっていく。そんな中、社長の赤松徳郎は「事故の原因は整備不良ではなく、車両自体の欠陥ではないか」と疑問を抱き、会社と社員を守るために、財閥系巨大企業のホープ自動車と戦うことを決意する…。

空飛ぶタイヤ ツイッターの反応

空飛ぶタイヤ 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

この物語は、実在の事件がモチーフになっています。2002年の財閥系大手自動車会社トラックによる脱輪死傷事故、同社によるリコール隠し。そのため、映画で描かれる出来事には、かなりのリアリティがありました。

ディーン・フジオカ演じるホープ自動車の課長・沢田は、当初、赤松の天敵として登場します。てっきり沢田が悪役で、赤松と最後までバトルするのかと思いきや、話はそんなに単純ではありませんでした。

沢田はホープ自動車内でリコール隠しの動きを察知し、追及に動きます。赤松VSホープ自動車だけでなく、ホープ自動車内でのリコール隠し派VS沢田という対立軸もあったのです。

最初は主人公・赤松に感情移入して観ていました。でも次第に話を追えなくなったので、次は沢田の目線へ。でも沢田は大組織の一員でもあるので、共感できる点もあれば、理解に苦しむ行動もあります。例えば、リコール隠し問題から手を引き、商品開発部への栄転話にあっさりのったのは、理解しにくい心情でした。

他にもたくさんの人物が出てきますが、観ている間「軸となる目線」がなかなか定まりません。俯瞰でそれぞれの行動を眺めていれば物語を追うことはできますが、感情移入ができないので、なんとなく冷めた気持ちで観ることになってしまいました。

また、複数の問題、対立が描かれることで登場人物も多くなり、わかりにくさを感じることもありました。

例えば、高橋一生演じるホープ銀行の社員。彼がどんな役割を果たしたのか、最後までわからなかったので、鑑賞後に解説サイトを見てしまいました。原作未読で楽しめるのが当然だと考えているので、本編だけで理解できないのは、個人的にはマイナス要素です。長編小説を2時間にまとめるのが難しいことはわかっているのですが…。

一方、良かった点は、「巨大企業の闇を暴いた力」が名もなき個人、一人一人の活躍であったこと。

個人で、ホープ自動車のような大企業と戦って勝てる人間はいません。でも、各個人が、自分の持ち場でできる最大の「良きこと」をすることで、巨大な組織にも対抗できる…という事実には、勇気をもらいました。

圧倒的なヒーローが巨悪を倒す物語に比べると、この話は地味です。でも「一人一人が担っている地味な仕事が、いかに大切か」ということを改めて教えてくれるという意味で、社会的な意義のある作品だと思います。

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「陸王」
池井戸潤原作。赤松運送と同じく小さな会社ですが、こちらは老舗の足袋業者の物語。会社の存続を賭けて、ランニングシューズの開発に挑みます。

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