レビュー

【女王陛下のお気に入り】映画の感想|想像と違いすぎ!なりふり構わない女たちの壮絶バトル


女王陛下のお気に入り
総合評価

「女王陛下のお気に入り」のあらすじ、感想です。

2019年のアカデミー賞で名前を知った作品です。

興味は持ったものの、中世イングランドの歴史映画という点で敷居が高く、なかなか手を出せずにいました。

ところが最近になって、この映画が歴史コメディと言われていることを知ります。

ポスターやタイトルからはまったく想像できない”笑い”の要素。

一体どんな映画なのか?自分の目で確かめるべく、鑑賞しました。

  1. 二人の女が女王をめぐって争う理由
  2. 壮絶なバトルの行方

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女王陛下のお気に入り 基本情報

原題 The Favourite
製作国 アイルランド、アメリカ合衆国、イギリス
監督 ヨルゴス・ランティモス
出演者 オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ
公開時期 2019年
ジャンル 人間ドラマ

女王陛下のお気に入り あらすじ

18世紀のイングランド。アン女王の幼なじみで側近の侯爵夫人・サラは、公私ともに女王をサポートし、宮廷内で絶大な権力を握っていた。

ある日、サラは縁故を頼ってやってきた没落貴族の娘・アビゲイルを女中として雇う。

サラに気に入られ、女官に抜擢されたアビゲイルは、サラに忠実に仕える振りをしながらも、女王に近づき、上流階級に復帰する機会を狙っていた。

女王陛下のお気に入り ツイッターの反応

女王陛下のお気に入り 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

タイトルやポスターから、女性の繊細な感情の揺れ動きを描く上品な人間ドラマを想像する人が多いのでないでしょうか。私はそうでした。

しかし実際は、

繊細どころか図太すぎる二人の女。
相手を排除するためなら手段を選ばないガチンコバトル。
品があるどころか、むしろ下品な表現や台詞。

想像を超えてドロドロしたストーリーに、観終えた今、”歴史コメディ”と言われていることにも深く頷いています。

この映画を観ていてまず思い出したのは、日本の大奥でした。

将軍の寵愛をめぐって女たちが争う大奥の構図が、女王とサラ、アビゲイルの関係に似ています。

しかし、大奥のドラマや映画と「女王陛下のお気に入り」には、決定的な違いがありました。

それは、そこに愛があるか否かです。

大奥は特殊な環境とはいえ夫婦関係がベースなので、愛情や嫉妬がドラマを生み出す元になっています。

一方、この映画で二人の女が女王をめぐって争うのは、そんな感情的な理由からではありません。

サラは、女王の側近として派兵や増税といった国家の重要事項を決定する立場にあり、権力を維持していくために、女王との親密な関係が必要でした。

没落貴族の娘であるアビゲイルは、女王に気に入られることで上流階級へ復帰し、生活の安定を手にすることを切望していました。

サラとアビゲイルは二人とも、自分の個人的な目的を達成するために、女王の一番のお気に入りであらねばならなかったのです。

サラと女王が同性愛関係だったため、アビゲイルも女王を”寝取る”方法を取りますが、単なる策略にすぎません。

一見、女王の肉体的・精神的パートナーの座をめぐる感情的な争いのように見えて、そこに愛は一切ないのです。

女性の繊細な愛情がテーマだと思っていたのに、そんな要素はどこにも見つからず、描かれていたのは、人間の剥き出しの欲望と壮絶なバトル。

サラとアビゲイルの振り切れた”負のパワー”に圧倒され続け、ラストシーンまであっという間でした。

あまりに下品であからさま、なりふり構わない二人の女の争いは、本作をコメディと呼ぶ十分な根拠になっているし、もし2回目があるなら最初から笑う準備をして観ようと思っています。

ちなみに、歴史的背景に詳しくなくても、問題なく鑑賞できました。また、豪華絢爛な衣装や美術セットも、一見の価値があります。

それでも、「上品な人間ドラマ」を期待して観るとだいぶ驚くので、心の準備をしてから観ることをおすすめしたい、大人向けの映画です。

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「ブーリン家の姉妹」
2008年公開 16世紀のイギリスで王の寵愛をめぐる女の争いを描く。争う相手が血のつながった姉妹という昼ドラも真っ青のドロドロ劇です。

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