レビュー

【十二人の死にたい子どもたち】映画の感想|ただのホラーじゃなかった。思いがけず考えさせられた深いテーマ


十二人の死にたい子どもたち
総合評価

「十二人の死にたい子どもたち」のあらすじ、感想です。

地上波初放送で話題になっていたのをきっかけに、BSで録画したままだった本作を観てみることにしました。

タイトルやポスターから、一人ずつ順番に死んでいくパニックホラーを想像。怖いシーンが多そうだけど、年齢指定がなくて大丈夫なのだろうか?と勝手に心配していました。

ストーリー以外では、人気の若手俳優が多数出演しているところも、注目ポイントでした。

  1. 12人の若手俳優の競演
  2. あるはずのない死体をめぐる謎
  3. 安楽死計画の行方

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十二人の死にたい子どもたち 基本情報

原作 小説 「十二人の死にたい子どもたち」冲方丁
監督 堤幸彦
出演者 杉咲花、新田真剣佑、高杉真宙、橋本環奈
公開時期 2019年
ジャンル サスペンス

十二人の死にたい子どもたち あらすじ

ネットで企画された集団安楽死の「集い」に参加するため、廃病院に集まった12人の少年少女たち。

ところが会場に、誰なのかわからない13人目の死体が置かれていたことで、計画に狂いが生じる。

また、安楽死計画の実行には、12人全員の同意が必要というルールがあった。

死体の謎、計画実行の可否をめぐって12人で議論を重ねる中で、それぞれの”死にたい理由”が徐々に明らかになっていく。

十二人の死にたい子どもたち ツイッターの反応

十二人の死にたい子どもたち 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

陰惨なホラーかと思いきや、まったく違いました。
実際は、ほとんどのシーンが12人の少年少女たちの会話で進む密室群像劇です。

“0番”と呼ばれる13人目の死体に関する推理。
安楽死計画の実行可否。

この二つを話し合う中で、参加者それぞれの”死にたい理由”が徐々に明らかになっていきます。

会話の中でも特に印象に残ったのは、人気女優のリョウコと、ゴスロリファッションのミツエが、激論を交わすシーンです。

バンドマンの後追い自殺をしようとしていたミツエは、「あなた(リョウコ)のような人達は、私たちの希望なんだ!」と叫んで、リョウコが死ぬことに猛反対します。

エンタメの世界に心を支えられた経験者として、ミツエの言葉には深く共感しました。でも印象に残った理由は、それだけではありません。

死ぬ覚悟を固めて「集い」にやってきたミツエが、土壇場で赤の他人であるリョウコの自殺を必死に止める姿に、何とも言えない人間らしさを感じたのです。

映画の終わり、”0番”の謎を解き、真相が明らかになった後、12人は全員一致で安楽死計画の中止を決めます。

なぜ彼らは意志を翻し、死ぬことをやめたのか?

「集い」にやって来た12人は、全員が今すぐにでも死ぬことを望んでいました。

しかし、彼らは他のメンバーの”死にたい理由”を聞いて、「理解できない」「やめた方がいい」などと、時に疑問を呈します。前述のミツエは、その最たる例です。

彼らの反応には、「たとえ出会ったばかりの他人でも、目の前の相手にはなるべく死んで欲しくない」という、人間的で素直な感情が見え隠れしていました。

さらに12人は、同じ目的の他人と交流することで、次第に自分自身の”死にたい理由”を見つめ直していきます。

つまり、「集い」を通じて他人の背景を理解し、自分を客観視したことが、「計画中止」という選択へつながったのだと思います。

「合議した上で、他人と一緒に死ぬ」という方法が、結果として自殺のアンチテーゼとして機能したことは、意外でした。

自ら死を考えるような状況でも、「他者の命は救いたい」と感じ、自分を客観視できるという事実は、自殺という社会問題を考える上でも、重要なヒントになるかもしれません。
ただのホラーだと思って観たのに、気がつけば深く考え込んでいました。つくづく映画は、自分の目で観ないとわからないものだなあと思います。

怖い映画を想像して避ける人も多そうですが、意外にも誰が観ても大丈夫。特に若い人には、おすすめできる作品です。

十二人の死にたい子どもたち を観た人にオススメの作品


「12人の優しい日本人」
1991年公開。三谷幸喜の人気戯曲を映画化した作品。同じ12人でもこちらはコメディなので、気分を変えられます。

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