レビュー

【フリーソロ】映画の感想|直視できないラスト20分。世界一危険なスポーツを追った記録映画


フリーソロ
総合評価

第91回アカデミー賞・長編ドキュメンタリー映画賞の「フリーソロ」のあらすじ、感想です。

登山にもクライミングにもまったく縁がありません。

それでもこのドキュメンタリー映画を観ようと思ったのは、映画館でたまたま、すさまじい予告映像を観たからです。

命綱なしに、はりつくように絶壁を登る人間に唖然としつつ、「こんな映像は、なかなか観られない」と強い興味を持ちました。

映画館で観たいと思いながらも叶わず、今回ようやく自宅で鑑賞することができました。

  1. 危険すぎるフリーソロ
  2. 思わず目を逸らすラスト20分の映像
  3. クライマーを支える人々の真実

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フリーソロ 基本情報

原題 Free Solo
製作国 アメリカ合衆国
監督 エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン
出演者 アレックス・オノルド、サンニ・マクキャンドレス、ジミー・チン、トミー・コールドウェル
公開時期 2019年
ジャンル ドキュメンタリー

フリーソロ あらすじ

世界的クライマーのアレックス・オノルドは、高さ900m超の巨岩・エルキャピタンに、命綱なしのフリーソロで登頂することを目指していた。

挑戦の前に立ちはだかるいくつもの問題を解決し、準備を重ねたアレックスは、2017年6月3日、ついにエルキャピタンの絶壁を登り始める。

フリーソロ ツイッターの反応

フリーソロ 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

正直に告白すると、鑑賞前、私は大きな勘違いをしていました。

命綱なしに崖を登るフリーソロは、”命を粗末にする行為”であり、チャレンジするのは、”死んでもいいと考えている無謀な冒険家”だと思っていたのです。

ところが、エルキャピタンのフリーソロ登頂を目指すアレックス・オノルドは、プロ中のプロ・クライマーでした。

日常生活に密着した映像を見て、この挑戦のために彼が重ねてきた、膨大な訓練と準備を知りました。日々心身を鍛錬して目標に挑むという点では、フリーソロは間違いなくスポーツでした。

本作がドキュメンタリーとして素晴らしいのは、アレックス本人だけでなく、彼を支える恋人や、登頂に密着する撮影チームの感情も丁寧に追っているところです。

たとえば、恋人のサンニは、危険な挑戦をするアレックスの側にいられるのだから、強靭なメンタルを持つ特別な女性だと思っていました。

ところが、アレックスがフリーソロに向かう日、サンニは「縁起でもないことを考えてしまうの…」と弱音を吐きます。

「なぜそんなことをするの?」「クレイジーだわ」と言って泣く彼女は、どう見ても私たちと同じ普通の人間で、心の底から共感しました。

また、監督のジミー・チンを始め、アレックスの友人で構成された撮影チームも、想像を絶するプレッシャーに苦悩します。

最悪の場合、滑落=死の瞬間をカメラにおさめてしまうからです。しかも、フリーソロにおいてその確率は、極めて高いのです。

実際に登頂が始まると、カメラマンは自分が撮影している画面を見ることができず、目を逸らしました。大切な友人が目の前で死ぬかもしれない状況では、当然のことでした。

「もう二度と、こんな撮影はやりたくない…」と半泣きになるカメラマンを見て、彼らにとっても、このチャレンジが、後の人生に大きなトラウマを残しかねない危険なものだったことを知りました。

アレックスの周囲の人々の思いに触れ、彼らの感情に深く共感することで、本作の鑑賞はより得難い体験になったように思います。

映画のラスト20分、アレックスがエルキャピタンのフリーソロに挑む映像は、成功するとわかっていても直視しがたく、緊張で鼓動が早くなるのを感じました。

滅多に観られないこの貴重な映像だけでも、本作を観る価値は十分にあります。

映画本編を観られない人でも、せめて予告編や動画でフリーソロという究極のクライミングを知ってほしいです。

その上で、もしフリーソロに挑戦するのが自分の家族や友人だったら…と想像してみると、このドキュメンタリー映画の凄さが、少しでも伝わるのではないかと思います。

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「世界の果ての通学路」
2014年。世界各地で、危険な道を通り学校へ向かう子供たちの姿を追ったドキュメンタリー。本作同様、日常からは想像できない光景を見ることができます。

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