レビュー

【坂道のアポロン】映画の感想|圧巻のジャズ・セッションシーン。音楽がきらめく珠玉の青春映画


坂道のアポロン
総合評価

「坂道のアポロン」のあらすじ、感想です。

原作のファンです。映画化が発表された時は反応しましたが、”原作ファンあるある”の不安の方が上回って、観るのを回避。最近、VODの無料作品に追加されたことで、「そろそろ観てみようかな…」という気分になりました。

物語の要となるジャズ演奏シーンを、初めて実際の音とともに体験できることを楽しみに、原作読者の視点で鑑賞しました。

  1. 圧巻のジャズ・セッションシーン
  2. 原作を忠実に再現したロケーション
  3. 音楽が結ぶ心。胸を打つストーリー

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坂道のアポロン 基本情報

原作 漫画 「坂道のアポロン」小玉ユキ
監督 三木孝浩
出演者 知念侑李、中川大志、小松菜奈
公開時期 2018年
ジャンル 青春/人間ドラマ

坂道のアポロン あらすじ

1966年。男子高校生・西見薫は、東京から長崎県佐世保市の高校へと転校する。

転校初日、クラスの雰囲気になじめない薫は、気持ちを落ち着けるために向かった校舎の屋上で、同じクラスの川渕千太郎と出会う。

大柄で茶髪、態度も大きい千太郎は、屋上で上級生と殴り合いの喧嘩をして、薫を驚かせる。

ある日、同じクラスで、レコード店の娘である迎律子の家にレコードを買いに行った薫。そこで、薫は、律子と千太郎が幼なじみであること、律子の家の地下で、千太郎がジャズドラムを叩いていることを知る。

クラシックピアノをやってきた薫は、千太郎に「ジャズは弾けないだろ?」と挑発されたことをきっかけに、ジャズピアノを猛練習。次第に薫は、ジャズの奥深い魅力にはまっていく…。

坂道のアポロン ツイッターの反応

坂道のアポロン 個人的な感想 ⚠︎ネタバレ有り

鑑賞後、本作が興行的には成功しなかったことを知りました。自分のような原作ファンが、結構な割合で回避したのかと思うと、本当に申し訳なく思います。

結論から言うと、映画「坂道のアポロン」は劇場で観るべき作品であり、最高の実写化でした。

まず、期待通りに素晴らしかったのが、音楽演奏シーンです。

最初に心をつかまれたのは、律子の家の地下室で千太郎が叩いたドラムの音。

パワフルで爆発的な音を聞いた瞬間、「そうか、こういう音が鳴っていたのか…」と、早くも実写化に感謝しました。

千太郎と薫、千太郎の幼なじみの大学生・淳一が、ジャズバーで急遽三人で演奏を始めるシーンもまた、見どころの一つです。

ディーン・フジオカ演じる淳一が、トランペットで最初の音を鳴らした瞬間に鳥肌。音に反応して体が揺れ、足でリズムを取りながら聴き入ってしまう、心地よい演奏でした。

そして、何と言っても最大の見せ場は、高校の文化祭で薫と千太郎が披露するジャズ・セッションです。

薫がピアノで弾いた「My Favorite Things」のメロディに、千太郎がドラムで応じ、そこから5分にも及ぶ、圧巻の即興演奏が続きます。

原作を読んだ時も、頭の中では音楽が流れていました。でも、「本物の音」が人の感情を動かす力は、やはり凄いとしか言いようがありません。

ちなみに、薫役の知念侑李さんと、千太郎役の中川大志さんは、まったく楽器ができない状態から練習を重ね、この文化祭のシーンを、すべて吹き替えなしで演奏したそうです。

厳しい練習を重ねてきた若い俳優二人の熱意が、互いを見つめながら幸せそうに音を奏でる、薫と千太郎の演奏に表れていました。

ストーリーに関しては、知っていたので改めて驚くことはなかったのですが、間違いなく言えるのは、「原作の再現率の高さと切り取り方、最高!」ということです。

高校へ向かう坂道、律子の家のレコード店、地下室…など、すべてが驚くほど原作通り。眺めているだけで癒される長崎、佐世保の風景は、原作の持つ穏やかな空気感を、思い出させてくれました。

映画「坂道のアポロン」は、ファンが見たいものを見せてくれて、原作の素晴らしさを再認識させてくれる理想的な実写化でした。この点が、個人的な高い評価につながっています。

それにしても、音響の良い劇場で観られなかったのは、つくづく残念です。今後、お気に入りの音楽漫画や小説が映画化されたら、ひとまず音を聴くためだけでも観てみようと、心を改めています。

坂道のアポロン を観た人にオススメの作品


「蜜蜂と遠雷」
ピアノコンクールに挑む、4人の若手ピアニストたちの物語。原作では文章で表現されたピアノの音を、実際に聴くことができるのが最大の魅力です。

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